休みは本当に休んでしまう

 僕の勤める会社には、お盆休みや夏休みといった類のものが存在しません。その代わり、「リフレッシュ休暇」と称した、選択型の休暇が5日間与えられます。フレキシブルに休みを取れる、使い方次第では良い制度だとは思いますが、裏返せばそれは「仕事が暇な時のみ、休んでください」という会社からの指示であり、当然"仕事が暇な時"なんていうのは夢まぼろしな業界ですので、実質は、夏休みカットというわけです。

 さらにひどいのは、それが年内で消化しなければ消滅してしまうという点。年末になると、社員間では「リフレッシュ、ちゃんと消化できた?」「あら…お気の毒に」という会話が飛び交います。そして、誰しもが来年こそはと意思を固めるのですが、年が明けると、そんな事はまるで考えていなかったように、各々は仕事を請け負っていくのです。こわい風潮です。皆、自分自身をもっと大切にしよう。

 

 そんな中、僕は珍しく、久しぶりに夏休みを取ることができました。周囲が長期で休みを取るよう、しきりに勧めてくるのです。休み無しに3案件連続で走り抜けたからかもしれません。この休みの後、大型案件にぶち込まれるのでは無いかとやや心配になりながらも、満更でも無い素振りで8月第2週まるまる、有給休暇を申請しました。

 なぜ、前述の「リフレッシュ休暇」ではなく、有給休暇なのか。国が数年前から運用している、年5日の有給休暇取得義務化ルールのせいです。違反すれば30万円以下の罰金ということですから、会社側は僕たちに有給休暇を取らせることに必死。そのため、自分たちが勝手に定めた「リフレッシュ休暇」などは後回しにするよう指示が来ます。ますます本当の夏休みは遠のいていきます。まぁ、休めるだけいい時代です。

 

 さて、僕はこの休み中に何をしたか。こんなご時世なので、旅行なんて行けません。少し体重もリバウンド気味なので、外食も気軽にすることができない。おまけに、お金も何故かありません。出した結論は、ひたすらダラける、です。家のタスクを消化するわけでもなく、VODで映画やアニメを見るわけでもなく、ずっと寝てる。

 休みは本当に「休み」になってしまいました。無駄に時間が溶けていく感じ、正直最悪でした。こういう時に、意外と自分はアウトドアタイプなんだなと感じます。奥多摩に一人旅とか、行きたかった。この状況にも関わらず遊び歩いている人に対してヘイトを溜めるわけでは無く、コロナがただ憎い。この一言に尽きます。

 食事に関しては、デパ地下もニュースでは取り沙汰されているから、美味しいおかずをテイクアウトするわけにもいかず、仕方なく自炊をしました(とはいえ、肉を茹でたり簡単なカレーを作ったりするくらい)。毎回皿を洗って、汚して、また洗ってを繰り返し、「なんでこんな事してるんだろう」と、そのスパイラルにうんざりします。ここに来て、ようやく一人暮らしの切なさを実感した気がする。この休みの収穫といえば、そんなところでしょうか。

 

 土曜日に突入した今日、とても落ち込んでいます。せっかくいただいた休みを何も有効活用できなかったのですから。そんな人間が、「リフレッシュ休暇」制度に異を唱える筋合いはあまり無い気がします。

 許してください。こうやって、何も内容が無くてつまらない文章を書いてしまうのも。